ノーベル賞受賞者のお言葉で思ったこと

ノーベル賞受賞者のお言葉で思ったこと

少し時間が経ちましたが、今年も日本人が受賞したと話題になったノーベル賞。ノーベル化学賞を受賞されたのが、企業内研究者として、知る人ぞ知る存在であったと言われる吉野彰博士でした。多くの研究者たちが、吉野先生がノーベル賞をお取りになるのが当然と考えていらっしゃったそうで、取るか取らないかではなく、いつ取るかという、時期が話題の中心だったとは、私のような門外漢には想いもつかないことでした。そんな私でも、先生の温かみのある、素朴な表情や立ち居振る舞いを拝見して、とても嬉しく心からお祝いの気持ちを感じたものでした。

ノーベル賞を受賞される先生方は受賞後に多くの示唆的なお言葉を残されて、マスコミを通じてですが、それらのお言葉に触れると、私なども深く共感し、先生方の示唆を生かすべきだなあ、などと思うものです。特にこの数年、医学賞、物理学賞や化学賞を受賞された方々が、皆さんこぞって基礎研究に力を入れないと日本の学問的力量が低下していき、いずれ世界の中で後進国のような存在に落ち込んでしまう可能性が有る、とおしゃっています。大学に入るための学習、就職のための研究だけでは新しいものが生み出されない、ということだと思います。

今年の吉野先生も同じことをおっしゃいましたが、私がそれ以上に感心したのは「実るほど頭を垂れる稲穂かなと言います。その言葉を大事にしてきました。」というようなお話しをされたことです。

子供のころ学校で言われましたし、父母にもずっとそう言われてきました。昔から日本人の心の持ち方に対する大事な教えであったこの言葉。最近は全く聞かなくなったように思います。フランスには、ノブレス・オブリージュという言葉が有って、選ばれた人(貴族)の責務、と訳すそうですが、偉い人ほど重い責任を負うべきだ、という考えだと聞きました。まさに吉野先生が思い出させてくださった、実るほど頭を垂れる稲穂かな、という言葉が持つ日本人としての誇りと戒めを、最近の「偉い人達」に思い起こして頂きたいと思ったのですが・・・。

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