大事なことと大事でないこと

大事なことと大事でないこと

マーケティングによる消費行動調査などでは、人はモノやサービスの購入に際して、それが自分にとって大事なモノやサービスか、ということを無意識に判断しているのだそうです。で、大事なモノについては慎重に選別し、価格についてもある程度の出費を覚悟して考える傾向にあるそうです。ところが、大事でないと思うものについては、深く考えないで、価格も安いもので良いと、単純に購入を決めていることが多いのだとか。

商品の販売が高級なものと低価格品とに二極化することがみられるのは、その商品の価値が人によって違うからだと考えられています。たとえば腕時計は今超高額品が売れているそうですが、一方で、携帯電話で時間が分かるから腕時計は不要という人や、時間さえ分かればいいのだから安いものでOKと考える人もいます。腕時計に対する価値意識が異なるわけですね。

翻って、私たちが参加させていただいている葬儀や法要などはどうなのでしょう。今、それは大事なことではないと考える方が少しずつ増えてきていないでしょうか。しかし、ご先祖から自分に至るまで連綿と続いてきた歴史には言いしれない重みがあると思います。そしてそれは何代も後の世代に引き継がれていくものに違いないのです。法要はご先祖や故人と心の奥深くで交流する場でもあります。

修行を重ねられ、生きとし生けるものへの慈しみの心と、彼岸に渡られた先祖の方々への、深い感謝の気持ちを大切に法要に臨まれるご僧侶方の、読経の一声一声はとても大事な響きを持っています。法要の持つ意味を大切にしていきたい。決して大事でないものにしてはいけない。そのために、ご僧侶の皆様も毎日の修行に励んでいらっしゃるのですね。

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